燃えよ『稲むら』〜防災人形劇『稲むらの火』を観て考えた、災害・防災についてのわたしたちの想い〜


9月2日(土)、鎌倉市のカトリック雪の下教会にて、防災人形劇『稲むらの火』が上演されました。

 

なんと112人の方が来場。子どもから大人までたくさんの方が鎌倉に足を運んでくださいました。

 

『稲むらの火』は小学校5年生の教科書にも採用されている作品です。

今回、主催に「津波が来る前に高いところへ逃げるプロジェクト実行委員会」。

http://kamacon.com/bousai/

そして出演は「デフ・パペットシアター・ひとみ」のみなさん。

ろう者と聴者が共に作る人形劇団「デフ・パペットシアター・ひとみ」http://deaf.puppet.or.jp/index.html

『稲むらの火』では、手話を用いながら、視覚的に訴える演出をされ、多くの人が手話と人形劇のコラボレーションに新鮮さを感じておられたようです。

i-link-u(アイリンクユー)スタッフは、この企画の持ち込み、開催場所探しと調整、受付、ビラ配り、会場整備などの協力、鎌倉学園高校の生徒さん達も片付けをお手伝いしました。

また今回この防災人形劇『稲むらの火』を開催するにあたってリーダーを務めた高野朋也さんは、上演前に開催への想いを述べられました。

『稲むらの火』の原

 

『稲むらの火』というのは1854年(安政元年)に発生した安政南海地震の際の実話です。紀州藩広村(今の和歌山県広川町)の豪商、浜口梧陵(はまぐち ごりょう)という人が、私財を犠牲にして津波から村民を救ったという原話に基づいて作られたお話です。

 

『稲むらの火』あらすじ

 

高台に住んでいた床屋の五平衛(ごへい)は、長い地震(安政南海地震)が収まった後に海水が沖に引いて海岸に広い砂浜や黒岩が現れたことから、津波の襲来を察知した。

「津波が来る。」

しかし村ではみな豊作を祝う祭りに夢中で誰一人津波に気付いていない。そこで五平衛は収穫したばかりの自分の田んぼの稲むらに次々と火をつけた。

稲むらが燃えているのに驚いた村人たちは、火を消そうと高台の田んぼに駆け上がる。

その直後、津波が村を襲って家々を飲み込んだが、村人たちはみな高台にいたので助かったのだった。

五平衛が自分たちを助けるために、大切な稲を燃やしたことを知った村人たちは深く感謝し、このお話を語り継いだ。

 

迫力ある演出、細かい表現

 

30分という長くはない時間で、観ている人を引き込む迫力ある演出が、次々と展開されました。

村を大津波が襲うシーン。「本物の津波みたいだった」「3.11のときの映像を思い出した」という感想がありました。

 

 

海の生き物たちを手を使って表現。人形の動きだけではない細かい表現も、観ている人を驚かせました。

 

災害時に耳が聞こえない人が困ることをみんなで学んだ

上映後の「おまけコーナー」では、災害時に耳が聞こえない人がどういうことに困るかをみんなで学びました。

・災害時、ラジオや街からの避難情報などが聞こえない。

・避難所で飲食物や生活用品の配給の放送があったとき教えてほしい。

その際、筆談や身ぶりなどで教えてほしい。

ろうあ者の方に役立つ防災グッズ(タッチペンでなぞると文字がかけるボード、火災などの際に振動する警報機)の紹介もあり、子どもたちにもわかりやすかったという感想がありました。

 

アンケートの中でもこの「おまけコーナー」の反響は特に大きかったです。

 

防災についてわたしたちが考えること

来場者にアンケートの記入をお願いしたところ、以下のような意見がありました。

「私たち聴者は多分、災害時には自分たちのことでいっぱいだと思います。

でも一番困るのは、耳の聞こえない人たちだと思っています。日本中、世界中がこの災害について改善すべきだと本当に思いました。

この人形劇をきっかけに手話がどんどん拡大するといいです。」

「この災害」というのは、記憶にまだ新しい東日本大震災の津波だと思います。

新聞の記事には、昭和58年に発生した日本海中部地震で津波の犠牲になった小学生たちについて、「無念でならない」という記述がありました。「もし子供たちが『稲むらの火』を当時習っていたらこのような悲劇も防げたのではないか」。

記事の結びには、「今こそ『稲むらの火』の炎を大きく燃えあがらせて愛の尊さを語り伝え、そして又災害による悲劇を忘れることなく常に目をさましていたい」とありました。

もう30年以上前の記事ですが、それは2017年の今も、その気持ちは変わらずに持ち続けたいと、わたしたちは考えています。

この人形劇をきっかけに広がってほしいのは、手話を用いた人形劇の魅力や手話そのものだけではなく、この『稲むらの火』を観てわたしたちが何を考え、そのあと「何をするのか」を地域で考え、広めていくことだと思います。

今回は耳の聞こえない人の困ることを学びましたが、他にも障がいを持っていて災害時に困る方はたくさんいます。

地域のつながりや声かけは出来るだろうか?避難経路や、避難空地、避難ビルの場所やどうやってたどり着けるのか?

その方たちのために、ただ「人形劇を観て感動した」だけで終わらせてはならないと思います。

今こそわたしたちは、『稲むらの火』の炎を五平衞のように燃えあがらせるときなのではないでしょうか。

i-link-u編集部:小林大晟

株式会社i-link-u(アイリンクユー)
【多様性は、多視点(バラエティ)で多彩(カラフル)。もっと面白い社会へ】
KEEP Differentを合言葉に活動、共創する社会を目指しています。現在登録者500人、主にイベント、ワークショップ、スタディツアーなどへ参加してくれた方で障がい者手帳を持たれている、 見えない人、聞こえない人、車いすユーザーの方、杖歩行の方、精神、知的、発達障害の方など とともに自立し、観光案内事業所、ゲストハウス運営でインクルーシブに社会に貢献していきます。
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