「どうせ出会えない、をなくす」ユニバーサルな街コンUNICONの挑戦とその恋愛事情


ユニコンをはじめたきっかけ

 

2年ほど前、一緒に活動をしている脊髄性筋萎縮症の21歳の青年の「彼女が欲しい」の一言でUNICONは始まりました。UNICONは「どうせ出会えない、をなくす」ユニバーサルな社会参加のしくみ、誰でも楽しんで参加できるユニバーサルな街コンです。
そもそも、彼は常に寝たきりの状態で、通常の生活シーンで介助が必要な状態です。しかし、「このままこの環境にいると孤独になる」という思いで、特別支援学校から都内の普通の高校に転入したという意思の持ち主で、今は通信制の大学で法学を学んでいます。得意なことはPCを巧みに操作して動画や絵を描いたり、小説を書いたりすることです。

そんな、動けない彼の、とてつもない野望が「彼女をGETする」ということでした。2次元のキャラクターから脱却して、下の世話をしてくれるような優しい彼女、生身の女性に関心、興味がある。その最初のアクションがUNICONでした。
「どうせ出会えない、をなくす」という言葉との出会い

 

i-link-uという任意団体でこのUNICONを運営していますが、団体のビジョンは「全ての人がわけへだてなく共創し、共生できる社会を創る」です。特にi(私)とu(あなた)がタテではなない、ヨコのつながりでできることを大事にしています。
団体での活動を通して、マジョリティといわれる人たちとマイノリティといわれる人たちが、出逢い、学び、一緒に働いて価値を創っていくとき、それらの融合がうまくいかない場合の障壁となっているのが、「諦めの感情」でした。

UNICONの一コマ。

UNICONは今まで18回行ってきましたが、その中で企画自体をブラッシュアップしようという機会が何度もありました。参加者の人、また参加したい人の中で、特に障がい者手帳を持っている人たちの「どうせ出会えない」という諦めの気持ちが強いことは、すごく伝わってきました。
諦めてしまうような環境に、もしかしたらいるのかもしれないし、思考の壁なのか、そう思わされている何かがあるのかもしれませんが、事実としてその傾向が強いと思います。強い願望の裏側にある諦め、そして諦めてしまう自分を慰めるという負の感情のスパイラルがあるようにも感じます。
出会いの場所や機会を提供している主催者の自分も、車いすに乗ったチャーミングできれいな女子に恋をした経験があります。「どうせ出会えない」と思っているのは、マイノリティとかマジョリティとか関係なく、そう思い込んでしまう切ない感情への共感性が根底にあると気づきました。
UNICONが掲げる「どうせ出会えない、をなくす」は、お互いの機会損失をなくすための表向きの表現である『どうせ出会えない、をなくす』でもあり、誰もが一度は経験したことのある、片想いや「どうにもならない感情」を表したものかなと思います。

実際にUNICONをやってみて

 

今まで開催した18回。初開催は東京の二子玉川で、代官山、立川、そして舞台を鎌倉に限定して、観光の要素を組み込み、数十回行ってきました。結婚したカップルが1組、カップル誕生は6組という結果です。

※お互いが障がい者手帳を持っているカップルもいますし、健常者×障がい者というカップル、スタッフ×参加者という組み合わせもあります。

UNICONの発起人のワタクシ高野です。
鎌倉で闘うという意思表示で武士になりました(笑)。

UNICONの特徴としては、初めて出逢ったメンバー同士の違う個性が接触する共同作業の時間を随所に盛り込んでいることが挙げられます。それがアートであったり、一緒に餃子を創ったり。生活や考え方、生き方や個性が混じり合うシーンがあります。
春夏は、町中を散策、海岸でBBQ、普段は行ったことのない場所や古民家などで、和装ができるという企画も取り入れました。男性がカッコよく引き立ったり、女性がさらにかわいく美しく引き立つような仕掛けをしています。
リピーターで参加してくれる男性は、徐々に失敗経験からを経て、より大胆に、「諦め」から「挑戦」に変わってきていますし、女性の中にも、女子会を自然発生的に作ったり、コミュニティを形成したりしているようです。

「どうせ出会えない、をなくす」というフレーズにもありますが、「どうせ◯◯できない」という諦めから、「もしかしたら、自分でもできるかもしれない」という状態へ心情の変化を起こすために必要なことは、「自分の失敗からしか人は学べない」と実感することです。他人の失敗からはなかなか学べません。他人の人生を生きること、なぞることになります。
また、一種の保護者目線で、UNICONで発生する様々なチャレンジを、失敗しないようにさせていくと、「どうせ出会えない、をなくす」をさらに増やしてしまうと思っています。
ですので、参加を希望される方には特に、「自分の思う世界は狭くて、多様で多彩な世界は面白くて広い、だから、はじめの一歩で転んでしまいましょう」と言いたいです(笑)。

今後の展開

 

今後の展開としては、「どうせ出会えない、をなくす」から「必ず出逢える」へ、より「ガチ」なUNICONを企画しています。参加者の方たちから「もっと、本気の出会いが欲しい」「友達が増える交流会ではなく、ガチに出逢えるものを」をという要望をぶつけてくれたからです。
今まではイベントの内容によって、誰が参加するのか申し込み時に分かる場合もありましたが、今後はほぼシークレット。参加者の顔は出さず、雰囲気だけを参加者以外にお伝えします。そのイベント中の「今」や「リアル」は、参加した人だけのものということになります。経験をより濃く楽しんでもらえるように、内容や参加申し込み状況、条件から絞り込み、年代別、興味関心趣向別で、イベントをセッティングし、カップル誕生率を上げていこうと考えています。

Web上にてUNICONのコンテンツ内容を公開、参加希望者に自由に申し込みできる仕組みを提供し、こちらでイベントの日程を調整をするという流れになります。「何月何日のこのイベントに参加しよう」ではなく、「この企画いいな!参加したい!」と手を挙げてもらった後に日程調整する流れです。カップル誕生、結婚!までいくと、キャッシュバックや特典をご用意します。
UNICONを通じて、情報をインプットし、アウトプットできる人が育ってきました。人生の目標や課題に対して、そろそろ結果を求める/求められるというフェーズに入ってきています。「ガチ」なUNICONの今後の展開に期待していただければ嬉しいです!